総括!!航空祭2002!!


※あくまでも私の私見、雑感ですので悪しからず・・・。

さて、今年度の航空祭も12月15日の築城を最後に終了しました。
ここで、今年度の航空祭をトンカツの独断で分析しちゃいましょう。

今年は、以下の5点に集約されると思います。
・TAC部隊、天候に見放される
・ADTW・F-2&中部地方大当たり
・実験部隊全盛
・アクロチーム進展
・刺客・F-1

単純に書くとこうなりますが、以下、細かく見ていきましょう。

1・天候について

今年はなぜか、戦闘飛行隊の置かれている基地の
航空祭が軒並み雲に悩まされました。千歳、三沢、
百里(航空観閲式)、新田原、那覇、いずれも雨天では
ないものの、低い雲が垂れ込め、戦闘機による展示飛行のキャ
ンセルが相次ぎました。また、小松基地に関しても、フライトに支
障はなかったものの一日中低い雲が立ち込めていました。
最後の最後に築城基地がこの上ないような好天に恵まれたことが、
救いとなりました。


低い雲が立ちこめた新田原基地航空祭。


小松基地航空祭。フライトは行われたものこの天気。

他、戦闘機が配備されている基地として、
岐阜基地も上げられますがここも小雨交
じりの天気、フライトは予定通り行われた
ものの、すっきりしない空にハラハラした
ものです。毎回、派手な展示飛行で大い
に盛り上がる基地として、終日晴天で行わ
れたのは築城のみです。松島、浜松も午前
の早い時間は少々心配させられました。


2.ADTW・F-2&中部地方大当たり


驚異的な機動飛行を見せたADTW・F-2。
岐阜では複数機が絡み、まさに向かうところ敵なし。

毎年、航空祭は「西高東低」などと「冬型の気圧配置」みたいに
なっていますが、なんと言っても今年は中部圏の航空祭が大い
に盛り上がったといえるでしょう。静浜、浜松、小松、岐阜、
明野です。キーワードはADTW・F-2&実験部隊でしょうか。
空自では、静浜、浜松、小松で岐阜のADTW(飛行開発実験団)
のF-2が今までにないような凄まじい機動飛行を披露し、観客、
ファンの度肝を抜きました。今まで、外来で展示飛行をすること
は非常にまれだったADTWですが、今年は各地に遠征、リモー
トにかかわらず他にない非常に豊富な充実した内容、そしてF-15
を凌駕する持ち前の機動性を充分に発揮し、迫力の展示飛行
を見せ付けました。派手に塗り分けられたテスターカラーの空自
最新鋭戦闘機F-2の高機動飛行に酔いしれた方も多いのでは
ないでしょうか。静浜ではブルーインパルスがF-2に完全に
食われてしまったような感まで受けました。
小松では、このF-2に対抗するかのように、現在の世界最強の
戦闘機F-15・2個飛行隊を擁する第6航空団がそのF-15を多数
仕向け、高機動飛行、多数機編隊を披露、空自主力はF-15で
あることを知らしめるかのようにフライトを繰り返していました。
このADTW・F-2vs6空団F-15の戦いは浜松でも見られ、現代の
空自戦闘機の勢力を充分に見せ付けたといえるでしょう。
そして、そのADTW・F-2のホームベース岐阜基地ではF-2が3機
でフライトを行い、高機動飛行も2機ないし3機が絡む狂乱的な
デモフライトを展開、そしてここでも空自主力戦闘機F-15が
F-2に対抗する構図が出来上がっています。
総括的には戦闘空域を小松、浜松、岐阜と移動させながらの
“F-2Viper-Zero vs F-15Eagle”の空自最強を掛けた空対空
戦闘だったといっても過言ではないでしょう(静浜はF-2の独壇場)。


ADTW・F-2に対抗できるのは空自の主力にして世界最強の戦闘機F-15。
小松、浜松、岐阜ではViper-Zero vs Eagle の頂上対決が展開されました。


大型旅客機ベースとは思えないほどの
機動を見せた浜松でのE-767のデモ。

これが見られただけで、空自戦闘機ファンに
とっては衝撃的なシーズンだったといえるの
ではないでしょうか。さらに、浜松ではE-767
の超常的な“機動飛行”が行われ、大型旅客
機が急上昇から90度バンクすると言うとんで
もない光景を目にし、また、明野ではOH-1が
相変わらずのヘリとは思えない破天荒な機動
飛行を披露、戦闘機だけが全てではないこと
を大いに主張していました。編隊飛行に目を
移すと明野では50周年を記念する50機編隊、
浜松での「50」文字編隊、岐阜では異機種編
隊にF-2が加わるなど、こちらも大いに盛り上
がりました。


機動飛行では熾烈な戦いを繰り広げたF-15とF-2も、
他の空自所属とともに編隊飛行を披露。

はるばる宇都宮から参加のスカイホーネット。


岐阜航空祭にてソロ2機が復帰、完全
復活を果たしたブルーインパルス。

まだあります。アクロチームに関しては、明野で
は明野レインボーにOH-1が加わり、更に航空祭
には宇都宮からスカイホーネットが参加、そして
岐阜では。今年最高のニュースといってもいいで
でしょう、ブルーインパルスにソロの2機、5,6番機
が復帰しました。2年前の事故を乗り越え、2年7ヶ
月ぶりとなる6機での飛行を岐阜から再開しました。
以上のことから見ても今年度は中部地方の航空祭が全てをかっさらっていったといえるでしょう。




3.実験部隊全盛について


岐阜ではF-2を複数飛ばしたADTW。
まさに別格であることをを見せつけました。

上記に関係するのですが、F-2やOH-1のフライトは
もちろん空自飛行開発実験団、陸自飛行実験隊に
よって行われました。腕の良いテストパイロットを擁す
る両部隊であることに加え、両機種の使用歴が他部隊
に比べて圧倒的に長いこと、さらに実験部隊だからこそ
許される飛行というものを披露し、他を寄せ付けない迫
力のフライトだったことは疑う余地がないでしょう。

相変わらず「異常」なフライトを見せるOH-1。



4.アクロチーム進展

まず、なんと言ってもブルーインパルスにソロが
復帰した事が大きいでしょう。昨年中から訓練で
はソロのフライトが再開され、ファンの間で復活
がいつになるか囁かれていました。
事故機に対する補充の2機も秋には第11飛行隊
に加わり、パイロットの練成も進んで、いよいよ
岐阜基地から6機体制が再開されました。4機で
フライトを続けてきたブルーインパルスが本来の
姿である6機に戻ったことは非常に大きな意味が
あると思います。なんといってもかっこいいし!
そしてもう一つ。今シーズンからAIRockエアロバ
ティックチームにウィングマンのノブさんが加わ
り、念願だったフォーメーションアクロを披露する
ようになった事があるでしょう。
いままでのロックさんソロでの演技でも充分に
すばらしいアクロバット飛行でしたが、ウィング
マンが加わったことで課目のバリエーションも
増え、今まで単機で行っていた課目も2機が絡
むことでまったく別物といえる進化を見せました。


6機フル編成に復帰、ショーも最高のものに。
築城にてブルーインパルスのオリジナル課目スタークロス。

今年からフォーメーションとなりさらに充実したAIRock



5.刺客・F-1

三沢から完全にリタイア、松島でもT-2が減勢し、両基地とも後継のF-2が台頭、さらに中部圏ではそのF-2が狂乱的な
フライトを見せたことで、すっかりF-2に置き換わり寂しくなりつつあるF-1ですが、甘く見ちゃ痛い目にあいます。
今年最後の航空祭、築城ではこのF-1が4機で低高度高速、そして全く間の空かない大迫力の模擬対地射爆撃を披露し、
すっかりF-2に舞い上がっていたファンに一喝をくだしました。
F-2に持っていかれた感のあったAGGでしたが、この第6飛行隊のF-1による同時多方向対地射爆は、これぞ支援戦闘機
だと言うに充分過ぎる迫力を見せました。機動飛行では主力戦闘機F-15を凌駕する勢いのF-2でしたが、支援戦闘機の
本業である対地対艦攻撃デモではまだまだF-1には適わないといったところでしょう。今シーズン向かうところ敵なしだった
ADTW・F-2を“撃墜”したのは、空自主力・世界最強の戦闘機F-15ではなく、意外にも消え行くF-1だったというのが今年
最後に持った印象です。まさに大どんでん返しってやつですね。F-2は空対空戦闘だけではいけない、支援戦闘機本業の
対地攻撃を磨きなさいという、先輩F-1からのメッセージだったと、受け止めましょう。
第6飛行隊、そしてAGGを行った4名のパイロットに拍手。
2002年築城基地航空祭にて、これぞ支援戦闘機
といえるAGGを行う第6飛行隊のF-1。
向かうところ敵なしだったADTW・F-2を撃墜たのは、
意外にもこのF-1だった。



・・・、んじゃ、対地攻撃型のF-2でさえこの勢いなんだから、将来F-4の後継に空対空戦闘専用のF-2改が作られたりしたら
さぞ恐ろしいことになるのでしょうか・・・そして、「専門外」の機動飛行でこうなのですから、専門の対地攻撃デモを本格的に
実働部隊が見せたら、どうなるのでしょうか・・・。結論、やっぱりF-2は最強。(汗) でも今年はF-1に軍配ね!

と、以上、今年の総括でした。おそまつ。