Africa Aerospace & Defence 2014

9月20日、南アフリカで開催されたエアショーへ行ってきました。

開催地は世界最悪の治安と悪名高いヨハネスブルグ近郊。

そう、ヨハネスブルグにだけは近寄るな、と、まるで界王様から「フリーザにだけは手を出すな」と言われるような、
そのフリーザ様すら「魔人ブウには手を出すな」と言われるような、そんな魔界に踏み込むことになるのです。

でも、オラわくわくすっぞ!なので行くしかありません。

もとい、エアショー世界制覇を目指すうえで、世界のアクロチーム集めをするうえでも、避けて通ることができません。
なんせアフリカ大陸で軍用機もばんばん飛ぶエアショーなんて、他にほとんどないのです。
(モロッコがありますがモロッコは上の方なのでヨーロッパみたいな感じだし;)

世界エアショー制覇の最後に残したアフリカの地。行かぬわけには参りませぬ。腹をくくって、レッツゴー…(怖くて消え入る声)

フリーザ様や魔人ブウに接触する、そんな覚悟で行ってきた南アフリカエアショー、はたして生きて帰ってこられたでしょうか。。。


ということでやってきました南アフリカいぇーい!!!

ってビビッてたわりにはいきなりハイテンションに始まりましたが、いろいろすっ飛ばしてもう会場についてます(笑)

さ、さっそくですが、エアショーの概要と今回の作戦実績を書きましょう。もし今後、ここに行きたいという方がいるなら、ご参考になれば幸いです。

このエアショーは2年に1度、偶数年に南アフリカで開催されるトレードショーです。
現在はヨハネスブルグの北、プレトリアの少し南のウォータークルーフ空軍基地で開催されていますが、過去にはケープタウンで行われていた時期もありました。
南アフリカは航空技術に関しては高い方で、自前の攻撃ヘリなどもあります。それを見ることができますし、現時点でアフリカ最大級のエアショーでもあるため、様々なものが見られます。

今回の旅程は、金曜日セントレア発のキャセイパシフィック航空と南アフリカ航空の組み合わせにて香港経由で行きました。
土曜日早朝にヨハネスブルグ空港着。そのままその日にエアショーを見物、日曜日はエアショーか観光か。
そして日曜日夕方の便でまた香港経由し、月曜日夜に帰着ということで、比較的短期間で行っています。

治安が世界最悪と言われるのでガイドブックやあれやらこれやら徹底的に調べ、とにかく身の安全を最優先しました。
実際には大げさに言うほどではないとも言われていますが、警戒するに越したことはありません。
ヨハネスブルグ中心部へ行かなければそれほどでもないとしても、やはり油断は命とりになりかねません。

ヨハネスブルグ空港からは、ハウトレインという安全な公共交通機関があること、それでエアショー最寄駅(センチュリオン駅)まで行けること、
そこからはシャトルバスがあること。つまり、移動は安全にできそうです。

実際、問題なくたどり着くことができました。

そして宿泊はヨハネスブルグ近郊でも比較的安全と言われる「サントン地区」。ホテルもハウトレインの駅から交差点の対角線上にあるところ。極力、外を歩く距離を減らすようにしました。

それでもなんだか不安なので、荷物も極力軽く。ノートPCも、大きな重いものから小さめで軽いものに買い替えました。これで小さな鞄に入ります。
荷物を小さくしすぎて、ヨハネ空港の税関で捕まったけど(笑)

そんなこんなで、エアショーへ行く分には、なんとかなるようです。

エアショーに戻りましょう。ビビッていたワタクシ、なんだか心強いポリスを撮ってしまいます(笑)

始まりましたー!!まずはヘリコプターがいっぱい。近郊の博物館から古い機種もいっぱいやってきました。

ほら、バンパイア。こんなのも維持されているんですね。バンパイアは飛べる機体が世界中に意外にたくさんいるのかもしれません。

南アフリカ空軍の主力戦闘機はグリペンです。この日も元気に飛び回りました。

はい!なんかやってる!!旅客機と編隊を組むのは南アフリカ空軍のアクロバット飛行チーム、シルバーファルコンズです!

ブレイク!!派手にやりますね。

シルバーファルコンズ、なかなかの腕前でした。チームの支援機が墜落し、クルーがいっぺんにたくさん失われてしまった事故も経験しましたが、無事に復活しています。

高性能のPC-7を使って、アメリカンスタイルのアクロをやっています。PC-7のチームも世界にたくさんあるなあ。

これ!南アフリカ国産の戦闘ヘリ、ローイファルクです!!ローイファルク。名前もかっこよくないですか?

高校生のころかな、航空雑誌でこれが紹介されて、衝撃を受けたものでした。南アフリカ、こんなの作れるんだ…って。なんかかっこいいし。ローイファルク。そのころから覚えていた名前、見たかった実機が目の前に。感激です。

T-33?と思ってしまった私、アホデシタ(笑) MB-339ですよね。

うわ、なんか、キモいのが出た;;シャークティースが大きすぎてほとんど口裂け女状態。キモい。わかります?気持ち悪い。今これを書いてる2019年現在(エアショーから5年もたってる;)、キモいとは気持ちが悪いという意味です。1999年からやってるこのwebサイト、過去のレポを見返すとその時代時代の言葉が出てきて、なかなか面白いですね。恥ずかしくもなります。そんなのカンケーねー!とか書いてる時期もありました(笑)

そう、キモいけど、そんなのカンケーねーです。これ、チーターですね。南アフリカがミラージュVを改造して作ったやつ。今は空軍ではなく、博物館所属機として飛んでました。

私きれい?口裂け女…。でもこれ見られて良かった。世界の戦闘機集めに無事に加入です。

サイが!!サイが来たぞ!!!さすがアフリカ!というか、密猟者と戦うデモをやっていました。さすがアフリカ。サイはもちろんお人形さんです。

地上展示もいろいろありましたよ。このデジタル迷彩風の小さい飛行機、かわいいですね。

はいー。アフリカの赤土…靴がまっ茶色です。で、粒子が細かい。風に乗って良く飛びます。私も頭からすっかりかぶっていたようで、ホテルでシャワーを浴びたらしばらく髪から赤い水が流れてました(笑)

トレードショーなので屋内にもいろいろ展示があります。これはフランカーが載った空母!でも、ロシアではありません。中国の展示でした。

チヌーク…?中国の。変なモノ見つけたなあ。

お!フレッチェトリコローリ!イタリアはM345にフレッチェトリコローリ塗装を施した模型を展示しました。実際にフレッチェトリコローリはこのM345への転換のうわさがありますが、なかなか実現しませんね。それより、なんでM346にしなかったのかな。あれの方がかっこいいのに。

下から見たらこんな感じ。すみません、背景に溶け込んで見えにくくなっちゃいました。

午後のフライト編。なんと、これはびっくり。ホーク4機でアクロをやっていました。シルバーファルコンズという立派なアクロチームがあるけど、こういった自家製アクロのようなのもいいですね。なかなか本格的でしたよ。

そういえば世界にはホークを使ったアクロチームもいくつかありますね。レッドアローズ、ミッドナイトホークス、サウジホークス、スリヤキラン、南海ホークス。うーん。南アホークスもいいんじゃないですかね?

だいぶ夕方色になってきました。グリペン、本日2度めのデモフライト。

シルバーファルコンズももちろん飛びます。

アフリカの大地に夕日が沈みます。アフリカのエアショーへ来るという一つの目標、そしてこれで世界のエアショー制覇という長年の大目標を達成できた、とても嬉しい1日となりました。

2005年の夏のある日、電車の中で「世界中のエアショーに行ってみたいんだよね」とつぶやいた私に、「行けばいいじゃん」とそっけなく返した友人(飛行機系ではない)。それで「絶対行ってやる」と気持ちが固まったあの夏の日。あれから10年目の秋、無事に成し遂げました。あの時の友人ももういない…わけではありません、今でも普通に仲良くやってます(笑)

世界のエアショー制覇とはいっても全世界全てのエアショーなんかとても無理なので、せめて全大陸。(南極除く。やってないから。)
そして、それだけでなく、東南アジア、西アジア、中東、北欧、東欧、北極圏、太平洋ど真ん中、などなど、世界を語るうえで出てくる各地域も出来る限り行こう、それぞれの地域でどんなエアショーをやっているのか見てこよう、そんな風に思って活動した10年でした。確かに、それぞれの地域にそれぞれの特色があり、はたまたどこも共通したような部分もあり、エアショーファンとしてはとてもよい見聞になったと思っています。

これらの旅を通じていろいろなものを垣間見られたのも、もちろん自分の財産です。エアショー中心なので見られたものは極々限られているし、もちろん世界を見るという意味ではまだまだ全然できていないに等しいですが、航空文化を見る、そういった意味では大きなものを得られたと感じた日々でした。

なにより、それに向かってどんどん行動を起こせたこと、そういう自分でも信じられないほどの原動力を得たことはとても大きかったと思います。


アフリカに沈む太陽を見ながらそんなことを…別にその時は考えてませんでした(笑)
はい、怖いので暗くなる前に帰りましょう!!シャトルバスに乗り、ハウトレインに乗り、そして駅からホテルへ駆け込む夕方6時。
なんとか無事に行ってこられて、一安心。外は土砂降りの雨になっていました。

前日で満足できたので、日曜日はエアショーに行かず、近所のネルソンマンデラスクエアというショッピングモールへ観光に行きました。面白いお土産品とかいっぱい売ってて楽しかったなあ。
ほら、観光で街歩きしたいけど、やはりヨハネ近郊ってなんか怖くてできませんでした。だから1.5キロほどのところにあるバーガーキングもいけませんでした。世界のバーキン制覇アフリカ編はまだまだ達成できそうにありません。

さて、いろいろ無事に済ますことができましたので、帰りましょうか。お家に帰って動画をアップするまでがエアショーです。

またハウトレインで空港まで無事に帰り、セキュリティチェックも抜けて一安心。魔界ヨハネスブルグから人間界へ戻ってきました。

が。油断大敵…

なんと、セキュリティエリア内でお金を要求される事案に遭遇;;それも空港職員から;;;
暴力的ではなく穏やかでしたが、「私は世界の通貨に興味があります。日本の紙幣をもらえませんか。」と。
は?です。は??欲しけりゃ自分のランド通貨をそこの両替所で替えてきなさいよ。

もちろんお断りしたけど…そんな形でまで金銭要求が来るなんて。治安が悪い国ってこういう風なのかな、と少し気が遠くなりそうでした。。。

ヨハネスブルグから香港への機内にて。飛行機から眺める夜空って、信じられないぐらい綺麗ですよね。星の数が凄まじいです。星の向こうに星があり、そのまた向こうに星がある。広い宇宙は星だらけ。ほし。ほしって空気の抜けたような音だなあ。ほし。
なかなかうまく写真には撮れないけど、あれは一度見てもらいたいものです。


ということで、南アフリカの旅、そして世界のエアショー制覇、これにて無事終了です!お疲れ様でしたー!!

大きな目標を達成し、同時に原動力を失った気もしますが、まあ友人の皆さんは言いたい放題言ってくれるもので、「2週目スタート!」とか、とてもありがたいお言葉をたくさんいただきました(笑)

大目標は達成しちゃったけど、これからはそういうのに縛られず、行けるときに、行きたいエアショーに、自由に行けばいいかな、と思います。これまでもとても自由、且つ目標があって、達成感や満足感が凄かったけど。

あと、エアショーに縛られず、何か変革があってもいいかな、と思い始めた2014年の秋でした。


かえる