第十一届中国国際航空航天博覧会

11月1日〜11月6日、中国珠海にて恒例のエアショーチャイナが開催されました。

数回前から人民解放軍空軍も大々的に参加、アクロチーム八一飛行表演隊も毎回のように参加するようになりました。
また、前回は開発中の中国産ステルス戦闘機J-31が突然参加し騒然となったことは記憶に新しいです。

今回は人民解放軍に加えなんとイギリスからレッドアローズがアジア遠征にて遠路はるばる参加、
ロシアからもロシアンナイツとストリジィが出てくるなど、どんどん規模を拡大しているイメージです。

そしてなんと、中国空軍が配備を開始しようとしている国産ステルス、J-20が参加という噂が…!

果たしてその結果は如何に。どうぞ、ご覧ください。


−今回のショーにJ-20が参加するかも。

そんな情報が俄に出たの9月ごろでしょうか。

あちこちからたくさんの情報が。交錯、交錯。

見られるなら絶対見たい。J-20なんか、輸出向けのJ-31よりさらに見られる可能性なんか低いです。

少しでもチャンスがあるなら、賭けてみましょう。いろいろ考えて出した結論は「あるとすれば初日」。

最終的に、中国版ツイッター“百度”の情報までも参考に、目星をつけて、ミッション・ゴー決断です。

もちろん、裏なんか取れません。賭けです。

岐阜航空祭の翌日、仕事後に関空から桃ちゃん航空で。不安な時に誘うと乗ってくれるY氏と一緒に香港へ。

その日の朝に香港から帰国した中国ご意見番も急きょ参加するとのこと、香港空港で深夜2:30に合流となりました。

ここでご意見番から中国外撮りの怖さやあれやこれやを聞かされぶるぶる震えるおっさん2人、ぜったい中国や外国で無理な外撮りはしませんと心に誓いました…(笑)

イヤほんとに危ないですよ、撮影が許容されてない国で(許容されてる国でも時と場合によっては)軍用機にカメラを向けるのは自殺行為です;;

さあ、前回14年の中華ステルス狩りに続き、今回も行ってみましょう!

朝7半前、この国旗の下に到着しましたw

今回とったルートは深夜に香港着、そこからフェリーでマカオを経由して珠海を目指します。

香港から直接珠海に入るルートもあるのですが、フェリーの始発が遅いため、珠海での渋滞を考えると怖いです。

マカオ行のフェリーは24時間運航しているので、一度マカオに入り、マカオと珠海の国境が開く6時には珠海に入れるという算段です。

ここまでは順調。そして前回まで大渋滞だったエアショー会場への道はなんとスッキリ交通規制され、タクシーは国境から全く問題なく30分程度で会場裏の「廃墟」に到着です。

タクシーの車内から会社へ「急用で休みます」って電話。。。ロクでない上司…ごめんなさい、激しく謝罪;;
ええ、はい、嘘じゃないもん。急用です、中華ステルスを撮るっていう急用だもん;;;

はいこれ、すっかりおなじみ、珠海のエアショー会場から飛行場を挟んで反対側にある撮影ポイント、「廃墟」です。これまでタマウミエアショーをめぐる幾多の悲しい物語が展開され、すっかり有名になりましたね(笑)

はい、今回も入ってみましたところ。。。すでに満員御礼!!えーーーーーーー!!!一番上の階、もう入れない!!だめじゃーん!2階は後方視界ないんだよ!

困ったなあ。。。

ってんで、やはり屋上を開放している隣の建物に来てみました。高いけど仕方ない。ここまで来てなにも見られずに帰るわけにはいきません。こっちでもいいんじゃない?ここをキャンプ地とするー!!

さてさて。果たして、どうなるやら・・・

エアショー開始を待つ時間にも刻々とJ-20情報がもたらされます。○時○○分に○機でフライバイ、○曜日と○曜日もあるかも、などなど…

そして始まるエアショー!あれ!最初に情報のあった時間にJ-20来ない!!

ちょっとがっくり。。。。でもここは中国、まだまだ何があるか分かりません。ドキドキしたまま、時間が過ぎます。

まずは中国人民解放軍空軍アクロチーム、八一飛行表演隊の登場です!今回からスモークがちゃんと機体内蔵システムとなり、アクロも大幅に進化していました。

いよいよ八一飛行表演隊も本格的なアクロチームになった印象です。これぞ中国雑技団!?

ショーの数日後に事故があり、女性パイロットが亡くなってしまったのは残念至極です。

そしてこれが着陸した時。何か、周りの中国人が俄に騒ぎ始めました。らいらーらいらー!(笑)

なになに、そんなに八一面白かった?と思ってふと目を上げたら。

らいらーーーーっっ!!!きたーーーーっ!!!あいやーーー!!!(爆笑)

いきなり来たよ、J-20!ほんとに来たよ、J-20!!なぜか笑ってしまいました、J-20!!

油断してたから最初に撮れたのがこんな映像、ちょっと後追い。

まさかの2機編隊で現れた中華ステルスJ-20に周辺騒然です!

そしてここで散開!!いきなりデモスタート!!

フライバイだけかと思ったらベイパーを引いて激しく機動するJ-20!どうですか!この虫っぽさ!

そして目の前で背中を…!いちおう、青空!まさかのデモンストレーションに身震いしました。ほんとに。

なんか、なんというか、バランスが悪いのか何なのか、かっこ悪い…ステルスなのにカナードでかい・・・ちゃんと試験はしているでしょうから問題ないのでしょうけどね。機首はF-35みたいかな?この見た目も変な反射をする塗装はF-22みたいかな?

いろいろなところに謎のセンサーがついています。一番上の編隊の映像では機体下面にでっぱりがついているのがお分かりいただけると思います。レーダーリフレクターでしょうか。本当にリフレクターが必要なほどのステルス性を有しているのか、あるいはハッタリか…

この機体の実力が気になります。対戦闘機戦闘ができるようには思えませんが、やはりAWACSキラー、タンカーキラー、、、といった性格のものなのか、あるいは侵攻目的なのか。。。なにものでしょう、J-20。

中国、もうまったく侮れません。Su-30MKKを保有、リバースエンジニアリングで作った(?)J-15もあり、さらにSu-35を導入しますし、どんどん近代化しています。

そして一気に急上昇して飛び去って行きました。この間わずか1分少々。ほんの少しの出来事でしたが、正真正銘、中国空軍が実用化を目指しているステルス戦闘機J-20が一般の目の前に確かに姿を現しました。ふふ。4Kで動画撮ってやったぜ!わはははは!

よかった、ほんとに良かった。これが見たくて強硬タマウミ展開したんだもんね。

このフライトには当局内や空軍にもいろいろと意見の隔たりがあり、実際に飛行実施と内容が決定したのは直前だったとのことで、フライトが実施されたのもこの1回のみでした。

「あるなら初日」。ここに賭けてみて、結果的には上手くいきました。

中華ステルス戦闘機狩り2016、ミッションコンプリートです!(*^ー^*

ほんとに、J-20が登場したころは「世界のあらゆる戦闘機を撮る」という目標をJ-20とJ-31に阻まれるのかと悔しく思ったものですが、まさか2機種とも撮れるとは。
工場のある成都に、動画が撮れるコンデジを隠し持って乗り込もうとすら思ってたほどです。エアショーで「ちゃんと撮れて」本当に良かったです(^^;

さて、どきどきも冷めやらぬうちに今度はイギリスから参加、レッドアローズの登場です!中国で初めての公式飛行に立ち会うことが出来ました。ヨーロッパではレギュレーションが厳しくなかなか真下に入ることはできないため、このような画像が撮れたのは棚ボタです。それにしてもレッドアローズ、かっこいい・・・

レッドアローズ、紅矢飛行隊、中国でも元気いっぱいでした!

このレッドアローズ中東・アジア遠征、当初は日本も検討されていたと言われています。今回は実現しませんでしたが、いつか来てもらいたいものですね。

日本には同時期にタイフーンが三沢へ展開してきました。英国空軍の凄い運用能力を見せつけられた気分です。

ところで向こうの廃墟屋上から手を振る人影あり。だれ?

げっっ、Alert5 だ;;

みなさんご存知ですよね、Alert5。ツイッターでもお馴染みです

Alert5、なぜか日本人大好きです。私や某Nさんにもよく絡んできます。実は間近で会ったことないのですが…

いつの間にかあっちの廃墟の屋上に侵入したご意見番に後で伺ったところ、Alert5は航空写真家の徳永さんの写真集の関係で同行していたとのこと、
あっちでAlert5がやたらと私のことを言いふらしていたらしく、でも彼はTONK298の「298」の意味が分からず、そこで居合わせたご意見番と徳永さんが
「298は日本語のごろ合わせで肉屋のことで、トンカツは日本の料理で…」と説明してくれたとかなんとか;;

ちょちょちょちょっと、やめてください、巨匠にそんなこと言わせないでください、どうしたらいいんだ私ww

はい、C-17です!じゃなくてこれもメイドインチャイナ、Y-20です!前回のショーでデビュー、今回も出てきました。

なかなかの飛びっぷりです。それにしても中国、戦闘機も輸送機も一国で開発してしまう資金力とか、侮れませんね…

いつの間にか曇っちゃった。ロシアコンビ、ロシアンナイツとストリジィです。混成編隊はMAKSで比較的よく見られますが、国外で展示したのは初めてとのことです。

分かれます!この後、ストリジィとロシアンナイツがそれぞれもデモを実施しました。ところで、ロシアンナイツと英語で言うなら、ストリジィではなくスウィフツと書くべきでしたね。。。すみません、ストリジィの方がかっこいいんだもん(笑)

そしてロシアンナイツはこの後すぐにイランエアショーで飛んでいます。最近、ロシアンナイツの海外活動が非常に活発な印象です。翌年3月にはマレーシア・ランカウイでのLIMAに新機種Su-30で登場しています。まだまだ今後が楽しみです。

はい、まだあります!これ、上から見えるとそこそこかっこいいけど横から見るとかっこ悪いヘンテコ戦闘機、JF-17です。中国製ですが飛ばしてるのはパキスタン空軍。パキスタン人が大好きな戦闘機で、これをYoutubeにアップすると大喜びされます。「インド人がジェラシーだぜ!」とコメントがつきます。

でもね、この3か月後、インドのエアショーに行って感じたんですが、、、ごめん、インド空軍、圧倒的にパキスタンを凌駕しているようです…質量共に。。。ごめんねパキスタン…

はい、出ました!JL-9、山鷹教練機!FTC-2000とも呼ばれる、これも中国産の練習機です。私が初めてここへ来た06年に飛んだのと同じ機体だそうです。塗装が変わりました。こう見るとMiG-21の面影を残していますね。

さて、まだ終わっていませんが、帰ります(断言

この日のうちに帰国便に乗り、翌日は普通に出勤です。また渋滞がわからないので、午後の早めの時間に撤収しました。

廃墟出口で地元マニアを捕まえ、航空側へ車で送ってもらうというオマケ付きですw

そのまま空港でタクシーに乗り、珠海・九州港へ。帰りもまさかの渋滞ゼロ、スムーズに行きつきました。

フェリーで帰ります。ミッションコンプリート、お疲れ様でした!

帰りの便は深夜です。暇だ。。。そしてお腹空いた。。。Y氏と香港空港でお食事です。とても、おいしかったマッシュルームスープ。

空港内を見物。(笑)

関西行はゲート1。あれ?この時間のそのゲートはもしや、、行ってみたらやはり!いつものCX251だ!今年も乗りますよ、RIAT行くとき!いつもの便が目の前に!うわー、なんか嬉しいなあ!

はい、深夜の関西行まで数時間、ここで自分が電池切れです、お疲れ様でしたー!


無事に中華ステルスを撮れた今回の強行タマウミ展開、完全に賭けでしたが目的を達することが出来、ほっと一安心です。

楽しいエアショーもよし、目的を目指して賭けてみる展開もよし、いろいろ楽しい飛行機旅行、やっぱりやめられそうにありません(^^ゞ

 

なお、前回まであれだけ苦労させられた大渋滞は、今回は交通規制によりパブリックデーも完全にコントロールされ、スムーズに流れるようになったとのことです。
次回以降もそうならいいなあ。。。

 


かえる