Aviation Nation 2019
- Nellis AFB Air Show -

11月16日、17日の2日間、アメリカのネバダ州ラスベガス近郊に位置するネリス空軍基地でエアショーが開催されました。

このエアショーはサンダーバーズのシーズンラストとなるホームカミングショーで、
以前は毎年開催されていましたが今は隔年開催となっています。

今年は2日間とも快晴に恵まれ、そのサンダーバーズはもちろんのこと、
F-35デモチーム(F-22デモチームがドバイに行ったため急きょ参加)やC-17、
基地所在機による模擬戦闘、海軍のEA-18Gによるデモなど盛りだくさんの内容で実施されました。

しかし今回、私は基地に入らず長年の目標を叶えてきました。
無事に夢を果たせたこと、神様に感謝です。


なんのことやら?というスタートですが、最初からネタバレで行きましょう。

今回は基地に入らず、ネリス空軍基地の正面に見えているサンライズマウンテンに登ってサンダーバーズを上から見るという、長年の悲願を叶えてきました。

サンライズマウンテンは1997年のブルーインパルス ネリス派遣の折にその存在を知り、2000年に実際に自分でその姿を見て以来、気になって仕方のない山でした。

2000年、初めて行ったネリス空軍基地で見たアグレッサーとサンライズマウンテン。我が原点です。

ネリス空軍基地は戦闘機パイロットの聖地とも言われていますが、私の初めての海外旅行で訪れた地だし、初海外エアショーもここだったので、私にとっても“聖地ネリス”です。

そこにそびえる山なんてもう、聖なる山以外の何物でもないでしょ?
ラスベガスに行くたびにこの山を撮っては大騒ぎし、2018年春の新婚旅行の時も滞在2日で4回も言及するという、なんかよくわかんないけどサンライズマウンテン大好きだったんです(笑)

そこからサンダーバーズを見ることは10年ぐらい前から考えてはいたものの、当時は手軽なGPS等もなく、登山道のない砂漠山にやみくもに入るのは危険なため、なかなか実行できませんでした。

ほら、ずっとサンライズマウンテン登ろうとか言ってる;

しかしここ最近のデジタルデバイスの発展は素晴らしい!スマホにグーグルマップ+GPS機能、まさに理想のツールが今、手の中にあるのです。

じゃ行ってみっか!と思いついたのが2019年の9月頃かな。お。意外に最近だw
ちょうど11月15日にこのwebサイトが20周年を迎えますし、その記念行事としてもちょうどいいでしょう。

そして今年は仕事や他の航空祭との絡みもクリア、行ける条件が整いました。

そうなればもう、脳内に変な物質が湧いてオラわくわくすっぞ!になるので実行に向けさっそく調査開始です。

 

いろいろ調べたところ入山記録が無くはないもののごく少数で、しかも決まった登山道はないようです。
そして山頂からは基地が遠く、そこからエアショーを見るのは現実的ではなさそうです。

こりゃもう自力で見物ポイントとそこへのルートを開拓しなくてはなりません。なんてこった。

いくつかの過去の登山記録。荒れた岩山です。登山道はないけど、ハイキング的な感じで登っているようです。

なんせ相手はアメリカなので現地へ見に行くこともできません、手元にあるGoogleMAPとGoogleEarthの2つを使って計画を進めていくことになりました。

@まずはGoogleMAPの衛星写真でサンライズマウンテンの様子を徹底的に調べ、気になるポイントをピックアップしていきます。

AさらにGoogleEarthでそこの標高と基地までの距離を測り、3D表示にして山をぐるぐる回し、どのように見えそうか確認して絞り込んでいきます。

Bそして目星を付けたポイントは基地から約3.8Km、標高878m。基地との標高差は318メートルです。これは楞厳寺山から防府北基地を見るのとほぼ同じ。ショーは山と基地の間の空域で行われるので、動画であれば充分な結果を得られそうです。

そこからはこういう風に見えるはず!!すっげえ!!はずです。

基地側から見るとここ、ここにいました。

と、見物ポイントは見つけましたので、次はここへいくルートを設定しなくてはなりません。

これがめっちゃ苦労しました。楽しかったけど。

なんせ人が入った記録がないのです。登山道もない。岩がガラガラの荒れ山です。はたしてこんなところへ本当に行けるのでしょうか?

そもそも、まずサンライズマウンテンまで行かなくてはなりません。
レンタカーを借りようかと思いましたが、高くつくので…GoogleMAPさんに相談したところ、路線バスが入山口候補の約1km手前まで行ってるじゃないですか。しかもホテルのすぐ近くから乗り換えなし。始発の到着は日の出15分前。完璧すぎるほど完璧です。よし、これにしよう!ここはすんなり決まりました。

ここからいよいよ登山ルート開拓です。
先ほどの入山記録も参考に、山の様子をじっくり観察します。
ためしにYoutubeまで調べてみたら野生みたいなおっさんが走ってたり、胡散臭いおっさんが踊りながら歌ってたり、この山には変態しか行かないのか?と不安に駆られます。

さあ、頑張ってルートを作りましょう。
再度GoogleMAPさんの登場です。
衛星写真を詳細に観察し、通れそうで、なおかつ要所となりそうな場所を次々とポイントしていきます。
GoogleEarthも併用してそのポイント間の距離と標高を測って勾配率を計算し、登れそうなルートを仮設定していきます。

こんなことを何か所も何か所も、何度も何度も繰り返し、サンライズマウンテンを隈なく調べて行きます。

見なさい、山が星だらけになっちゃったよ。

ポイントを結んで出来たルート候補は途中に勾配率50%(27°弱)を超える斜面が出てきますが、これ以上緩いルートは作れません。
50%って人間が登れるのかー!?
これ、富士山山頂剣ヶ峰直下の馬の背がほぼ同じです。みんな登ってるので、まあ、登れなくはないようです。ここさえクリアできれば…行ける…かも?馬の背の写真を見たらほとんど崖だけど;

次はGoogleEarthの3Dをぐるぐるぐるぐる回し、地上レベルビューを表示し、想定したルートで登れそうかシミュレートしていきます。
これの精度は見慣れた実家周りや職場周りの地形で「充分使える」ことを確認済みです。

ほうほう。こんな風になってるのか。なんとか歩けそうだね。

とか、こんなところ越えられるかー!?とか、一喜一憂しながら楽しい時間が過ぎていきます;

不明確な場所は、迂回用の予備ルートを設定していきます。

こうしてルートを作っていきますが、そもそもGoogleデータだけに頼るのは不安なのでサンライズマウンテンの等高線を衛星写真に合成し、緻密に検証しました。

ここまで調べたらあとはもう、現地で対応するしかありません。まさに野となれ山となれ、です。

そして出来たルートはバス停からGoogleMAPで道として表示されてる場所を通って登り口まで1.8マイル、見物ポイントまで標高差約200m距離1.2マイルのガラガラ岩山登りです。まあ、なんとかなるかな、と。
ただしこのルートも若干の不安があるので、迂回ルートも設定しました。バス停から山の入口まで1.9マイル、そこから登り口まで2.5マイル、そこから見物ポイントまでは同じルート。約4km多くなります。

どうですか星マークがいっぱいついたGoogleMAP。メインルートと、予備ルートも色を変えて設定してあります。
もちろん拡大すればもっともっと細かく見られますが、めっちゃ苦労したのでこれ以上は企業秘密です☆
もし詳しく知りたい場合はやっそさんブログをどうぞ、当日の行程が記録されています☆

現地ではこの星マークをGPSでトレースしていくことになります。

いいですか、もう一度言いますよ、道がない、実績がない、どうなってるかわからない。この星マークだけが命綱です。

衛星写真を現地でも見られればベストですが、もし電波が入らなくてもオフラインMAPの星マークをGPSで辿れれば大丈夫。GPSは宇宙から来ますからね。

地図データだけだとこんな感じ。これだと何のことやらわからないけど、まあ、自分の現在地がわかればなんとかなります。

ここまで作るのに約1ヶ月かけたかな。

他にも気になることはいっぱいあります。
日没までに降りてこられるのか(実は一番大切です。なんとか戻れる目途はつきました)、危険生物は住んでいないか(クマはいないけどガラガラヘビはいるようです、でも11月だから寝てるよね;)、いろいろいろいろ調べます。
あっちも調査、こっちも調査。

だいたいの計画は出来ました。あとは、一人では不安なので、Facebookでお友達募集です。
今回はいつも通り、変なところへはだいたいついてきてくれるやっそさんがまた同行してくれることになり、一安心です。やっそさんは物好きですね。

そしていよいよ旅行開始3日前、だんだんナーバスになってくる時期ですが、新しい情報がないかネットを見ていたらなんととても気になる情報が。

当初歩く予定だったルート脇、確かに警察の射撃訓練場があるのですが、新しい情報によるとこれの発砲音が凄いと。
なんか近くで撃ってると。命の危険を感じたと。そういう情報が;;これはまずい。
もう一度山の入り口付近をストリートビューで拡大し、よーくよーく見ると、なんか白い立て看板がぽつぽつ並んでる…これ、立ち入り禁止の表示じゃなかろうか…。

もし当日、ここへ行って入山できなかったらさらに2kmのロスです。それは避けたいし死にたくないので、迂回ルートで入山を目指すことに急きょ変更です。

7km歩いてから岩山登りか…だいじょうぶかしら;;

 

はい、そんなこんなで、いってみようやってみよう☆

いよいよ日ノ出岳巡礼の旅が始まるのでした。めでたしめでたし。


終わってどうする、続きます。


ここまで時間をかけて綿密に計画したこと、やり直しがきかない一発勝負、はたして結果を残すことはできるのでしょうか…どきどき。

いよいよアメリカへ行っちゃうぜー!!つづく!!


かえる